金融教育の副教材としても活用できる!高校生の“お金にまつわる判断力”が身につく「金融リテラシー検定」が誕生 [PR]
学習指導要領の改訂により、2022年4月から高等学校における「金融教育」が拡充された。具体的には、家庭科や公民科で資産形成や資産運用といった視点が盛り込まれているのだが、「果たして自分に教えられるのか」と戸惑う先生方も多いのではないだろうか。
そんな先生方の強い味方となってくれる新たな検定試験が、2023年4月に誕生した。その名も「金融リテラシー検定」だ。
この検定は、国家試験であるファイナンシャル・プランニング技能検定(FP技能検定)の指定試験機関である一般社団法人金融財政事情研究会が制作、運営を担い、その教材である「お金と暮らしのトリセツ ―未来をいきる金融リテラシー2023年度―」は同研究会と金融のプロであるSMBCコンシューマーファイナンス株式会社とのコラボレーションによって生まれたものだ。
今やお金や投資に関する知識を、学校で本格的に学ぶ時代。高校の先生たちにもぜひ知っていただきたい「金融リテラシー検定」およびその教材の開発背景や特徴について、開発者メンバーに話を聞いた。
一般社団法人 金融財政事情研究会 ファイナンシャル・プランナーズ・センター 所長
三瓶 剛史(さんぺい たけし)さん
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 人事部 主任
若手有志団体Us(ユーズ)メンバー
呉藤 舞(ごとう まい)さん
株式会社三井住友フィナンシャルグループ サステナビリティ企画部 兼
SMBCコンシューマーファイナンス株式会社 広報サステナビリティ推進部 主任
若手有志団体Us(ユーズ)メンバー
寺尾 隆(てらお たかし)さん
国立大学法人福井大学 地域創生推進本部 客員准教授
※SMBCコンシューマーファイナンス株式会社より出向
若手有志団体Us(ユーズ)メンバー
若手の有志から生まれた「金融リテラシー検定」
「金融リテラシー検定」とはどういった検定なのでしょうか?
金融リテラシー検定は、民法改正による成年年齢の引下げや高等学校の学習指導要領改訂等を背景に、早い段階での金融教育による計画的な資産形成や金融トラブルの回避等、生活の中で実用的に活かせる金融知識の習得を目的に創設した検定です。
主な受験者としては高校生や大学生、新社会人を想定しており、受験料は3,300円(税込)です。パソコンやスマートフォン、タブレット等でいつでもどこでも受けられるIBT(Internet-Based Testing)方式を採用しています。
正誤問題と事例形式の三答択一式の計50問からなり、契約や法律の基礎知識、クレジットカード使用時の注意点など、生活する上で知っておいてほしい基礎知識を出題しています。
この検定を創設する発端となったのが、SMBCコンシューマーファイナンス社の若手有志団体Us(ユーズ)だったそうですね。
はい。当社には健康経営を推進する取り組みの1つに社内クラブ活動の制度があるのですが、寺尾と呉藤と私の3人で、2020年3月にクラブ活動として登録した団体がUs(ユーズ)です。
もともと私たち3人は2014年に同期入社した仲で、2019年に3人とも本社勤務になったタイミングで「一緒に何か新しいことに取り組んでみたいね」という話から、若手に活躍の場を、そして互いに学び合い、高め合うことができる団体としてUsを立ち上げました。
Usでは毎月さまざまなテーマを設定してインプットとアウトプットの両輪を回す活動をしているのですが、あるとき新規事業をテーマにみんなでアイデアを持ち寄った際に、三瓶から出されたのが「金融リテラシー検定」でした。
具体的にどのような経緯で着想されたのでしょうか?
まず新規事業を考えるにあたり、当社の強みは何かと考えてみました。当社は、2011年から現在までに累計受講者数が150万人を超える金融経済教育のセミナーを実施していますが、他社による同様の取り組みと比較し受講者数が多く、この知見を活用できないかと考えました。
次に外部環境を見渡してみたところ、成年年齢の引き下げによって、「お金に関する知識や判断力などの金融リテラシーを早期に学ぶことが今まで以上に大切だ」という主張がさまざまなメディアで叫ばれていました。
学校の先生方も金融教育について生徒へどのように教えたらいいのか悩まれているという話も聞き、ここで当社の強みを活かせないかと考える中で、検定というアイデアが浮かびました。
調べてみると、主に金融業界で働く人の知識習得を目的とするような資格はあるものの、消費者向けの金融リテラシー向上を図るような資格はないと知り、ニーズがあるのではないかと思い、具体化していきました。
実生活で役立つ金融スキルが身につく検定
「金融リテラシー検定」を形にするにあたって、SMBCコンシューマーファイナンス社と金融財政事情研究会がタッグを組んだ経緯は何だったのでしょうか?
検定のアイデアが生まれたものの、それを具体的に形にするノウハウは当社では持ち合わせていませんでした。
そこで、FP技能検定をはじめとする金融分野の検定などを制作されている金融財政事情研究会さんに協力を仰ぎ、全体の企画やデジタルテキストの制作などを協同させていただきました。検定試験の制作・管理・運営は金融財政事情研究会さんに全て行っていただいています。
私が所属する部署では、数名の社員が教員免許を保有しているのですが、皆それぞれが、学生に向けた金融教育の必要性を感じていました。
FP技能検定が国家試験になってから20年が経ち、合格者も260万人を超える規模になりましたが、高校生や大学生に向けた検定試験は存在していませんでした。そこへこの検定企画のお話をいただき、我々としても新しい層への金融教育に挑戦してみるべきではないかということで、協同プロジェクトとしてスタートしました。
試験問題や教材は、どんな観点で設計されていったのですか?工夫したところやこだわったところについても教えてください。
金融リテラシー検定の教材である「お金と暮らしのトリセツ ―未来をいきる金融リテラシー2023年度―」で学び、検定試験を受けることによって、実生活で役立つ金融スキルが身につくこと。
このコンセプトに沿って、新学習指導要領の内容や金融庁、日銀などが示す資料等を参考にしながら検定内容をつくっていきました。
当社が金融経済教育のセミナーを通して把握している、若者の間で頻発している金融トラブルの最新事例や、誤った理解をしがちな項目への工夫などもふんだんに盛り込みました。
加えて、さまざまな教科書の内容なども参考にしてまとめているので、先生方にとっては副教材としても活用いただけるものになっていると思います。
「教育現場で受けやすい検定」だと思っていただけるような工夫をしました。
例えば、GIGAスクール構想との親和性を高めるため、一人一台のタブレット端末が配布されている環境を活かせるように、デジタルテキストを用意しました。また、ショート動画やイラストなどを差し込むことで、いかに興味を持って最後まで読み切ってもらうかというところにもこだわりました。
検定試験はインターネット環境が整っていれば、タブレット端末でも受験できるので、授業の中で「金融リテラシー検定」を取り入れてみようと思っていただけると幸いです。
日本の金融リテラシーを底上げする一助にしたい
教材デザインや実用的な内容、教育現場での使いやすさなど、あらゆる点で先生や生徒の立場に立ったきめ細かい設計がされていることを感じます。この検定が広く認知され、金融教育に関心を向ける若年層が増えるといいですね。
そう願います。私が学生の頃は、金銭トラブルに巻き込まれている友人が何人かいました。
この検定を企画する最中にも、金銭トラブルに巻き込まれた若者が自ら命を絶ってしまったというニュースが報道されていて、「こうした検定がもっと早く提供できていたら救えた命もあったのではないか」と考えさせられました。金銭問題で困っている人たちの力になれたら、という想いも開発の原動力になっていたように思います。
アメリカの有力格付け会社スタンダード・アンド・プアーズが2015年に実施した「グローバル・ファイナンシャル・リテラシー調査」において、日本は38位、G7の中では6位でした。なぜ日本は諸外国と比較して金融リテラシー水準が低いのかを考えると、諸外国と比べて小学校から金融教育をあまりやっていない点が挙げられます。
加えて、社会制度にも違いがあります。オーストラリアの場合は、国民全員が確定申告をしなければいけない制度なのだそうです。
つまり、自分の納税額をきちんと把握していて、社会人になると金融に関する実用的なリテラシーが身につくようになっています。日本の場合は、源泉徴収制度を採用しています。とても便利な制度ですが、社会人になっても税金についてあまり考える機会がありません。
このような現状を考えると、社会人になるまでに金融について楽しく学べる機会がもっと増えると、金融リテラシーも自ずと高まっていくのではないかと思います。
「金融リテラシー検定」はまだ創設されたばかりですが、今後どのような存在に育っていってほしいですか?
幼少期からの金融教育は必要だと考えているので、個人的には中学生や小学生にも裾野を広げていきたいと思っています。
いずれは国家資格のような、全ての年代の方が「お金に関する判断力」を養うことができる必須の検定となって、日本の金融リテラシーの底上げにつなげる手段の1つになれたらいいですね。
何をもって「金融リテラシーがある」と言えるのか。
単に検定に合格しただけではなく、きちんと金融に関する知識を持ちながら、その場や状況に応じてどの選択肢が最善かといった「お金に関する判断」が自分でできるという姿が、「金融リテラシーがある」という状態なのではないかと思っています。その土台を作るための検定でありたいですね。
最後に、学校における金融教育をどのように実践しようかと考えている先生方へメッセージをお願いします。
先生方や生徒の皆さんが「こんな検定があってよかった!」と思えるものを作ろうという意気込みで開発してきました。
検定試験の教材だけを見ても、学習指導要領の内容を踏まえて、高校生や大学生向けにわかりやすく説明している自信作です。まずは先生方にその良さを実感していただいて、ぜひ授業でも使ってみていただきたいです。
もし使いづらさや分かりにくい部分があれば、お気軽にフィードバックください。教育機関と民間企業という垣根を無くし、教育のプロである先生方の知見をお借りしながら、より良い社会に向けて共に取り組んでいけたら幸いです。
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※全章の内容は、検定を申込いただいた受験者の方へお送りしております
〈取材=岩田 龍明/文=栗崎 恵実/写真=芝田 陽介〉