「思考する教室」を一緒につくろう!NewsPicks Education×「概念型のカリキュラムと指導」公認トレーナーから学ぶ、概念型カリキュラムのつくり方 [PR]
NewsPicks Educationでは、新学習指導要領のベースにある考えを完全に理解できる必読の書といわれる『思考する教室をつくる 概念型カリキュラムの理論と実践』を教科書に、公認トレーナーから概念型カリキュラムのつくり方と実践を学ぶ講座を定期的に開催している。
「とにかく実践することを大切にする」という思いで開催されているこの講座の講師を務める「概念型のカリキュラムと指導」公認トレーナーの秋吉梨恵子さんに、概念型カリキュラムに感じる可能性や講座開催にかける思いについて聞いた。
公立小学校退職後、欧米の学校を訪問しながら、大学院で国際バカロレア(IB)について研究。日本の小学校初のPYP認定校で、PYPコーディネーターとして探究のカリキュラムをデザインし実践する。現在は、複数の学校で探究・プロジェクトを中心としたカリキュラムデザインや教員研修を実施。NewsPicks Educationと共同で、「概念型カリキュラム」を学ぶワークショップを開催。
概念とは、特有の事象から離れて学びを展開させるもの
——秋吉さんは、2021年からNewsPicks Educationとコラボレーションする形で概念型カリキュラムのワークショップを開催されていますね。
『思考する教室をつくる 概念型カリキュラムの理論と実践』をテキストにして、概念型カリキュラムの真髄を学ぶ講座に、講師として関わっています。各章ごとに理論を解説しながら、受講者の皆さんにワークに取り組んでいただき、最後は対話形式で互いの気づきを共有し持ち帰っていただくような講座です。
探究の授業は楽しいですが奥が深く、実践を続けるとまた新たな課題が出てくると多くの先生方が感じているかもしれません。特に概念を通して探究していくような授業づくりというものは、実際に取り組んでみると「今までの授業と何が違うのだろう?」と疑問に感じたり、悩むことがある先生方もいらっしゃいます。
指導書や参考図書を読んでもよく理解できなかったり、理解したつもりになってもどう実践したらいいのかイメージが湧かなかったり、そんな声も聞かれます。そうした先生方を少しでもサポートしたいという思いと、概念型カリキュラムをつくる楽しさにも気づいてほしいという思いで、過去4期にわたって講座を共に開催しました。
——秋吉さんは「概念型のカリキュラムと指導」公認トレーナーの他にも、国際バカロレア(以下、IB)のワークショップリーダーやカリキュラムデザイナーとしても活動されています。秋吉さんがIBや概念型カリキュラムに惹かれた理由は何ですか?
一言で言うと、自分がなぜ教員になったのか?という問いに、明確に答えてくれる解がIBにあったからです。
私は高校生の頃、「一度ドロップアウトしてしまったらもう戻ってこられない現実や、生まれた環境や場所次第で人生が決められてしまう現実に、すごく不公平さや理不尽さを感じる」といったことをエッセイに書いたことがありました。学生時代の留学を経てさらにその思いは強くなり、多くの人々にとってより平和な世界を築いていくためには、教育が鍵になるとの思いから教員の道に進みました。
公立小学校で教えているときにIBのことを知り、その使命や学習者像に深く触れたときに、「これは自分がやりたかった教育そのものだ」という感覚がありました。というのも、IBの初等教育ブログラム(Primary Years Programme、以下、PYP) では、より平和な世界を築くことに貢献する人材になる上で、知識・概念・スキル・姿勢・行動の5つの基本要素がすごく大切にされていて、私の授業実践には最後の行動というピースが欠けていたことに気づいたんです。
それまで、行動は子どもたち任せで偶発的に起きているような感じだったので、私から何か行動につなげるきっかけを作り出すという意識が全然なくて、目から鱗でした。実践を続ける中で、さらに奥深いIBの世界に魅せられてIBの公式ワークショップリーダーのトレーニングを受けました。また、IB校ではない学校でも同様の学びを展開できたらという願いから、「概念型のカリキュラムと指導」のトレーナー養成講座も受けて、公認トレーナーになりました。
——IBや概念型カリキュラムにおいて核となる「概念」という言葉について、その意味をどう捉えたら良いでしょうか?
『思考する教室をつくる 概念型カリキュラムの理論と実践』では、概念とは「時と場所を超えるもの」と定義されています。何のためにこの概念型カリキュラムがあるかというと、子どもたちに何のためにこの単元を学ぶのか、という本質の部分を考え、つかんでほしいからなんです。
例えば「戦争」という概念を考えるときに、第2次世界大戦という1つの事例だけを掘り下げるのではなく、現代で起きているウクライナとロシアの事案や、逆に時代を遡って織田信長が名実共に天下人となった「長篠の戦い」も同時に見て、「この3つの戦いの共通項は何だろう?」「何が原因でそういう戦いが起こるのかな?」「戦いは教室の中でも起こるかな?」「戦いが起こらないためにはどうしたらいいんだろう?」などと、それ特有のことから離れて広げて考えていくことで学びが展開されていきます。
その学びを引き起こす鍵となるものが概念です。まだインターネットもなかった昔の考え方だと、知っている具体例の数、つまり知識が多ければ多いほど、そこから大事なポイントを抽出し、教訓や学びに変えていけました。人間の知性への信頼が根底にあって、「知っている」ことにすごく重きが置かれていたわけです。
でも今はそういう時代ではありません。検索すればすぐに求める情報にたどり着けますし、情報量も膨大で、むしろ学習者側がパンクしてしまいそうなほどです。
そんな中では、知識量を求めるアプローチではなくて、時と場所を越えて共通する考え方やものの見方、真理の部分を深めていこうというのが概念型カリキュラムの思想なのです。
IB校でない学校の先生にこそ、この学びを知ってほしい
——こうしたワークショップなどを通して『思考する教室をつくる 概念型カリキュラムの理論と実践』の考え方が多くの学校や先生方に広がることによって、どんなことを期待しますか?
私が勤めていた日本の小学校初のPYP認定校では、探究の時間を導入してから、子どもたちは本当に楽しそうに探究に取り組み、こちらの想定を超える成長を見せてくれました。あのときの子どもたちの成長が、私に探究学習や概念で学ぶことにどれだけの可能性があるかを見せてくれたように思います。
なぜ子どもたちがあれほど生き生きしていたのかと思い返すと、やはり自分で考えることに楽しさを感じていたのだと思うのです。まだ探究を導入したての頃は、私が答えを持っていると思って、それを探そうとしていました。でも先生が答えを持っていると考えると、途端に「これで合っているかどうか」とか「間違えば恥ずかしい思いをするんじゃないか」という思考回路が働いてしまうものです。
一方で、先生が答えを持っているわけではないと分かったときの子どもたちの表情は、本当に喜びに満ちたものに変わるんです。それが、学校が楽しい、探究することが楽しいと感じる源泉になっているのだろうなと思っていて。
そういう経験を、多くの子どもたちが学校に通っているうちにしてほしい。概念型カリキュラムを実践せずとも、その考え方に触れるだけでも授業のつくり方や教材の取り上げ方や見方が大きく変わると思うので、そういう意味でもこの考え方が広がっていくといいなと思います。
——最後に、概念型カリキュラムについて共に学びたいと思っている方々にメッセージをお願いします。
私はこの概念型カリキュラムを通して、授業をデザインし実践するということが、いかに自由でクリエイティブなことなのかを皆さんと共有できたらうれしいなと思っています。授業をデザインするからには、授業者としての自分の思いもとても大切です。
自分の思いを大切にしつつ、それが公正な形で子どもたちと検証できるような時間になったら、中学・高校の授業は本当におもしろいだろうなと思いますし、まだ何にでも好奇心を示し、学ぶことが純粋に楽しい小学生の子どもたちと概念について考えていくことで、どれだけその子たちの世界が広がるのだろうかと考えると、大きな可能性を感じます。
大変なことはもちろんありますし、教科書通りにやる方がもしかしたら簡単かもしれませんが、教員としての充実感を得られるツールの1つであることは間違いありません。
まずは多くの先生方に興味を持っていただいて、「授業ってこんな風につくる自由度があるんだ」と実感し、おもしろさを見出していただけたらとてもうれしいです。少しでも興味がある先生方、ぜひ一緒に学びましょう!
「思考する教室 概念型カリキュラムの理論と実践」を公認トレーナーと学ぶ講座
第9期の開催決定・申込
<全8回の日程>
Day1 : 2024年9月4日(水) 19:30 – 21:30
Day2 : 2024年9月11日(水) 19:30 – 21:30
Day3 : 2024年9月18日(水) 19:30 – 21:30
Day4 : 2024年9月25日(水) 19:30 – 21:30
Day5 : 2024年10月2日(水) 19:30 – 21:30
Day6 : 2024年10月9日(水) 19:30 – 21:30
Day7 : 2024年10月16日(水) 19:30 – 21:30
Day8 : 2024年10月23日(水) 19:30 – 21:30
<対 象> 小・中・高の先生方
<参加費> 無料
<形 式> オンライン(Zoom)
<条 件> 仲間との学び合いであるため、全回出席が参加条件です