大学生に寄付先を託す「Learning by Giving 大学版」始動。武蔵野大学アントレプレナーシップ学部と共同開発した特別授業に密着![PR]
寄付・社会的投資が進む社会の実現を目指す、認定特定非営利活動法人 日本ファンドレイジング協会が、武蔵野大学アントレプレナーシップ学部と共同し、日本初の大学生向け社会貢献教育プログラム「Learning by Giving 大学版」をスタートさせた。
寄付先を大学生に託すという画期的なプログラムは、どのように実現したのか。実際にプログラムに参加した大学生やNPO団体に、プログラムの魅力について話を聞いた。
実際に寄付をするというリアリティがプログラムの魅力
2020年度より本格的にスタートした、社会貢献教育プログラムLearning by Giving(以下、LbG)。
これまでに8つの中学や高校で実施され、今年の7月には武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部と共同で、日本初のLbG大学版を実現した。
LbG大学版は、寄付者からの寄付を原資に、大学生が寄付について体験的に学び、NPOについて調べ、最終的に寄付を行うところまでを提供している。
武蔵野大学と実施したLbGは、産学連携の一環として行われる寄付講座を活用し、2日間の集中講義、合計10コマの「特別授業」として開催された。プログラムには、アントレプレナーシップ学部の学生12人が参加。
一般財団法人日本寄付財団からの助成金を原資に、参加学生を4チームに分け、1チームあたり40万円を自分たちで検討し選んだNPOに実際に寄付した。さらに今回のプログラムでは、寄付にとどまらず、寄付先候補のNPOへのインターンシップも行う。
その意図について、武蔵野大学 アントレプレナーシップ学部の佐藤大吾教授はこう語る。
本学部は、“『ことを成す』人を育てる。”をミッションに、2021年4月に開設した学部です。
起業家精神を持って新たな価値を創造する、実践的な能力を身につけた人材の育成を目指しています。授業スタイルは、グループ学習・事例研究・対話など、全て双方向に学ぶアクティブラーニングスタイルを徹底しています。
本プログラムにおいても、実際に寄付をする体験にとどまらず、インターンシップを通してNPO経営を体感することで、起業の実践知を身につけられるように設計しました。
本学部の学生は、ソーシャルビジネスに興味を持ち、実際に起業を検討している学生ばかりです。ですので、今後起業資金や運営資金の調達という課題に直面します。
そこで、本プログラムを通して寄付をする側を経験することで、学生が起業する際の貴重な視点を手に入れることができます。実際に寄付をするというリアリティが、このプログラムの魅力だと思います。
寄付に参加しづらいのは「知らなかった」から
2日間にわたる集中講義では、寄付者との対話の時間や、寄付先候補であるNPOとの対話の時間が用意されている。それは学生が寄付の意味や価値を発見、気づくプロセスに欠かせないという。
プログラムへ参加した学生は、実際に何を感じているのだろうか。アントレプレナーシップ学部1年生の清水茉瑚さんに聞いてみた。
福祉に興味があり、NPOについて知りたくて軽い気持ちで参加しました。また、寄付は参加しづらい感覚があったので、特別授業を通して寄付について理解を深めたいと考えていました。
実際に授業に参加して、寄付に参加しづらいと感じていたのは「知らなかった」からだと分かりました。寄付者の方々の思いを知ったことで、寄付が特別なものではなく、日常生活の中のものという感覚に変わりました。
寄付を通じてたくさん考えたり対話したりすることで、主観だけではない思考が身についたと感じています。
また、皆との対話の中でそれぞれ考えが違う状態から意見をすり合わせて、各々の価値観をつくりあげていく雰囲気が印象に残っています。
よく『価値観が違うから合わない』と切り捨ててしまう人がいますが、私は他人との意見衝突や意見交換があってこその価値観形成だと考えています。『合わないからこそ、価値観が強固になっていく』ような感覚です。
私たちのグループは、最終的に難民支援のNGOに寄付をしました。当初私は、病児保育と障害児保育のNPOに寄付をしたいと思っていましたが、対話を重ねていく中で少しずつ頑固さが和らいでいく感覚がありました。
この特別授業は寄付について考えることを目的としていましたが、それ以上の学びを得ることができたと思っています。
今すぐにでも寄付を募ることができるレベルまで成長
ひときわ熱心に参加していた2年生の清水涼太さんは、どのように感じたのだろうか。
私は将来、地方から日本を変える活動をしたいと考えています。
自分が将来、NPOや株式会社を設立する上で、ビジネスでお金を稼ぐだけでなく、寄付を受けることや、クラウドファンディングなどの寄付に頼ることもあると思います。その準備のために、そもそも寄付とはどのようなものなのかを体感的に知りたいと思い、この特別授業に参加しました。
実際に参加してみて、知識面でたくさんの収穫がありました。
寄付者にどのような思いや考え、背景のもとで寄付をされているのかを聞くことができ、自分が将来クラウドファンディングや寄付活動を行う際の参考になりました。
寄付をしてくださいと言うことは簡単ですが、 寄付者がどのような思いで活動を支援してくれるのかは聞いてみないと分からないことだったので、寄付者の思いを知ることができたのは大きな収穫でした。
今すぐにでも寄付を募ることができるレベルまで、成長できたのではないかと思います。
また、寄付をすることに対しての責任も感じることができました。
最近、お金がないからとりあえずクラウドファンディングでお金を集めればいいや、と考えている人が少なからずいるように思います。
寄付をする側も、される側も、社会を変えるという大きな責任を持っているということを忘れてはならないと思いました。
学生、NPO、寄付者、三方よしのLbG大学版
内閣府の「社会意識に関する世論調査(令和元年度)」で、学生の69%が「社会の一員として、何か社会のために役立ちたいと思っている」と回答している。
大学生がLbGによって寄付とその行為がもたらすNPOの変化を体験することで、まさに「誰かの役に立つという経験」を得ることができる。また、現実の社会課題を知り、解決のための多様なアプローチを考える経験をすることで、現代社会を生きていく上で求められるアントレプレナーシップ力を高めることにもつながる。
さらにこの取り組みのベネフィットは、学生だけにとどまらない。寄付先候補のNPOにとっても、寄付を得られる以上の価値があるそうだ。
今回のプログラムに寄付先候補として参加した子育て支援などに取り組む認定NPO法人フローレンスの黒木健太さんは、すごくいい取り組みだと話す。
私たちは非営利団体ですが、決してボランティアではないので事業収入を上げる必要があります。
しかし、どうしても受益者負担にできないところに支援を差し伸べようとすると、持ち出しになってしまうので、寄付は私たちにとって大きな支えです。寄付を原資に新しい事業にも挑戦できるんですよね。
ただ日本には寄付文化がなく、寄付を募るのは簡単なことではありません。だからこそ、学生のうちから寄付を経験できる機会があるのは、本当に素晴らしいことだと思います。
学生、NPO、寄付者、三方よしのLbG大学版。
今回は、一般財団法人日本寄付財団からの助成金を原資に実施したが、大学側で原資を用意できる場合には、すぐにでも取り組むことのできるプログラムだ。
寄付の新しい活かし方に挑戦する日本ファンドレイジング協会の活動に、今後も目が離せない。
日本ファンドレイジング協会が手掛ける社会貢献教育「Learning by Giving 大学版」に関するお問い合わせは、下記URLよりご連絡ください
https://business.form-mailer.jp/fms/5e8509b443609
〈取材・文=三原 菜央/写真=中庭 廣子・芝田 陽介〉
「日本寄付財団」について
本プログラムは、日本寄付財団からの助成により実施しました。
日本寄付財団は、利益至上主義がもたらす多くの社会問題、放置され続ける課題に真正面から向き合いそれらを解決、改善するための精力的な活動を行う団体を支援しています。
「社会貢献教育ポータル」について
「Learning by Giving 大学版」をはじめとした社会貢献教育の豊富な事例、学生たちにチャレンジ、イベント、研修などが掲載された「社会貢献教育ポータル」サイトもご覧ください。