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今こそ、脱・教える教育!企業経営のスペシャリストが提唱する「気づきの教育」への転換が必要な理由 [PR]

今こそ、脱・教える教育!企業経営のスペシャリストが提唱する「気づきの教育」への転換が必要な理由 [PR]

「人を育てる」ーこれはなにも学校の先生や親だけの役目ではない。

企業においても人材育成は必要不可欠であり、企業経営も重要な教育の担い手だ。

40年以上企業経営に携わってきた株式会社フォーバル代表取締役会長の大久保秀夫さんは、今の日本の教育を、これからの社会の変化を見据えた形につくり替えることが急務との強い課題意識を抱いてきた。

社長を後継者に任せた現在、国を巻き込んだ教育改革活動の他、カンボジアに学校を設立し、理想の教育を実践している。そんなベテラン経営者である大久保さんが必要だと考える「気づきの教育」とはどのようなものなのか、話を聞いた。

写真:大久保 秀夫(おおくぼ ひでお)さん
大久保 秀夫(おおくぼ ひでお)さん
1954年、東京都生まれ。國學院大學法学部卒業。大学卒業後、アパレル関係企業、外資系英会話教材販売会社を経て、1980年、25歳で新日本工販株式会社(現在の株式会社フォーバル-東京証券取引所 市場第一部)を設立、代表取締役に就任。1988年、創業後8年2ヶ月という日本最短記録で史上最年少(ともに当時)の若さで店頭登録銘柄(現JASDAQ)として株式を公開。2010年、社長職を退き、代表取締役会長に就任。会長職の傍ら、講演・執筆、国内外を問わずさまざまな社会活動に従事。カンボジアにおける高度人材の育成を支援する「公益財団法人CIESF(シーセフ)」理事長も務める。『みんなを幸せにする資本主義 - 公益資本主義のすすめ』(東洋経済新報社)、『在り方』(アチーブメント出版)など著書多数。


教育は、全ての始まり。これからは「地球益」を志すリーダーが必要だ

——大久保さんは企業経営者としてビジネスの最前線を走り続けてこられた後、現在は国内外でさまざまな教育支援活動をされています。なぜ教育分野にシフトされたのでしょうか?

私は25歳で起業してから、国内3社・海外1社を上場させた経験を経て、「人づくり」が企業経営の大きな仕事だということに気がつきました。

それ以来、経営者として企業での人材育成に携わり、教育分野に興味を持って勉強を重ねてきました。ビジネスの最前線にいると、AI(人工知能)の急速な発達により、コンピュータが人間を超える知性を持つようになるシンギュラリティ(技術的特異点)が到来し、人間の価値が改めて問われようとしていることを実感します。

この複雑かつ急速な環境変化に適応できる人材がますます求められている社会の中で、「なぜ日本の教育はこうも変わらないのか」と忸怩(じくじ)たる思いを抱いてきました。

教育は、政治や経済、社会、文化、芸術など、人間のあらゆる活動の根幹をなすものですが、戦後の高度経済成長期につくられた日本の教育システムは、今や古いと言わざるをえません。

社会の要請に応えるためにもアップデートが必要です。そうした思いから、かねてより社長業を引退後は教育分野で社会貢献しようと決めていました。


——社会の要請に応える人材を育てるための教育改革が急務とのことですが、これからの社会に求められるのはどのような人材だとお考えですか?

今こそ「地球益」を考えられるリーダーが必要だと考えています。

世界で起こっている紛争や貧困、深刻な環境問題の多くは「今さえ良ければいい」「自分、自国さえ良ければいい」という、利己的で刹那的な人間の考え方が生んでいるものだと思うのです。

人間が生み出してしまった問題は、人間が解決していくしかない。そのためには、利他の心をもった人材が絶対に必要です。

私利私欲や社益、省益、国益などを超え、地球環境の保全や世界平和、貧困のない世界の実現を目指し、世界中の人々の幸せのために何をすべきかという、地球にとっての利益=「地球益」を目指す志をもつリーダーを育てる教育が急務だと考えています。


日本語教育に空手教育、カンボジアで実践する理想の学び

——そうしたご自身の課題意識のもとに、子どもたち自身が「気づく」ことに重点を置いた理想の学校をカンボジアに設立されたそうですね。

はい。変化の必要性が理解されながらも、日本の教育は一朝一夕には変えられません。そこで、外から日本の教育を変えられないかと考えて、以前から教育支援をしていて縁深いカンボジアに学校を設立しました。

それが、幼小中一貫校の「CIESF Leaders Academy(シーセフ・リーダーズ・アカデミー、以下CLA)」です。

「地球益を目指す、志をもったリーダーを育てる」という建学の精神のもと、2016年に幼稚部を、2019年に小学部(現状1〜3年生のみ)を開校し、気づきの教育を中心に据えた独自のカリキュラムで子どもたちの人間性を育んでいます。

カンボジア政府もCLAの理念に強く共感してくださり、カンボジア国内では唯一、義務教育の卒業資格を得られるインターナショナルスクールとして認可されています。


——CLA独自のカリキュラムとはどのような内容なのでしょうか?

CLAのカリキュラムは、日本全国から14名のベテラン教師や経営者の方々に集まっていただき、「理想の教育」とは何かを真剣に考えた末につくられました。

タブレットによる自学自習はもちろん、「偉人伝による志を育てる教育」「自己肯定感を高め、相互承認力をつける宝物ファイル」など、日本では実現できなかった独自の教育プログラムがいくつかあります。

中でも特徴的なのが、総合的な学びで考える力を育てる「プロジェクト学習(問題解決型学習、PBL)」と、人として当たり前の礼儀や対人姿勢、相手を思いやる心の大切さなどを身体全体で学ぶ「『心身統一体』を実感できる空手教育」です。

また、国語と社会の授業はカンボジア教育省の指定カリキュラムに沿って現地の先生がクメール語で行いますが、その他は基本的には日本人教師が日本語で行っている点も特徴的かと思います。


——カンボジアで空手に日本語教育とはユニークですね。それぞれにどのような狙いがあるのでしょうか?

例えば、子どもに「きちんと挨拶しなさい」「嘘をついてはいけません」などと指導することがあると思いますが、単に言葉で教えるだけでは、それがなぜ必要なのか、なぜいけないのかが身にしみては分かりません。

気づき」がないから真の理解が伴わず、習慣として根付かないために同じ失敗を繰り返してしまうのです。真の理解を促すためには、もっと体を通じて教え、気づかせることが大切です。

礼や感謝の気持ちをもって相手と向き合えば、力ずくで動かせなかった相手を動かすことができ、また同じ動作でも言われて動くのではなく、自ら相手のために動けば、体の軸がしっかりと整い、背中をもし押されたとしてもぐらつかなくなる、というような違いを、空手教育を通して気づかせる取り組みを行っています。

さらに日本語教育では、「地球益」のベースとなる非常に大切な価値観である多様性の尊重を教える狙いがあります。というのも、日本人は七五三や初詣には神社にお参りし、結婚式はキリスト教式で、お葬式はお寺で行う。いかに日本人が多様性に満ちた文化の中に生きているかが分かります。

日本語の文脈の中にも、多様性を受け入れ、異なる宗教が共存しながら社会に根付く日本文化が体現されており、そういう観点から日本語は多様性を学び、「地球益」を考える上で最適な言語だと考えています。


自ら気づきを得た人にこそ、社会問題を解決する力が宿る

——大久保さんから見て、今の日本の教育に足りないものは何だと思われますか?

「何のために教育を行うのか」という教育本来の目的と、「それをどう実現するのか」という目的を達成するための手段が混同されていることがあまりにも多いように感じます。

ICT教育にしても、「何のためにそれを行うのか」という本来の目的を、教える側も、教わる側も、しっかり理解した上で進められているでしょうか?

本来、教育の目的は人をつくって社会や国を良い方向に変えることにあるはずで、「人は何のために生きるのか」「人としてどうあるべきか」という「在り方(How to be)」を教えることこそが教育の本質だと思うのですが、残念なことに、日本の教育現場では「やり方(How to do)」の部分にばかりウェイトがかけられてしまっています。

自分がなぜ生き、なぜ働くのかという人としての「在り方」に子どもたち自身が「気づく」教育がもっと必要ではないでしょうか。


——日本の学校現場が「気づきの教育」に転換するためには、まずどんなことを足がかりにすれば良いでしょうか?

私なりの考えですが、幼児教育では心と身体の関係を学ぶことを重視し、小学校ではたくさんの偉人伝に触れることで人としての「在り方」や「生き方」を学び、中学校や高校では問題解決型のPBLに重点を置くことで、社会に出てから必要になる問題発見力や問題解決力を磨くことが大切です。

特にPBLは、子どもたちに気づきを与える手段としてもっと活用していくべきです。

ある問題について自ら調べ、考え、他人の意見を聞きながら議論し、気づきを得る経験を重ねた子どもたちは、社会のさまざまな問題を「自分事」としてしっかり受け止めるようになります。

当事者意識が芽生えてこそ、行動を変えたり、社会の問題に興味関心を持つようになる。これは社会に必要とされる人材像そのものです。


——最後に、共に日本の教育を変えていこうとする先生方へのメッセージをお願いします。

これからは「先生が教える」から「生徒が気づく」時代です。

科目で何をどう教えるのかということ以上に、子どもたちの「気づき」を誘発するためにどう導いていくかを考えることが、学校の先生の役割としてますます大事になってくるでしょう。

学ぶことの楽しさを、子どもたちにいかに気づいてもらうかということに心を砕き、創意工夫を凝らしていこうと志を同じくする先生方と力を合わせ、教育改革に取り組んでいきたいですね。

大きな変化に対して恐怖心を覚えずに、ぜひ勇気をもって果敢にチャレンジしていただきたい。一緒に新しい教育をつくっていきましょう。

大久保さんの著書はこちら!
世界最高の人材を育てる気づきの教育 「教える」から「気づかせる」


〈取材・文=栗崎 恵実/写真=竹花 康〉