「本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校」札幌新陽高校の開く学校づくり。NewsPicksを通じて自主創造できる生徒を育みたい[PR]
「本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校」をスローガンに教育改革に挑む札幌新陽高校は、約800人の生徒が在籍する私立高校だ。
生徒に「出会いと原体験」の機会を届ける同校は、数年前まで存続が危ぶまれる経営状態だった。そのような状況を打破したのが、「開く」学校づくりだった。
2016年2月に民間出身の荒井優さんが校長に就任し、多様な大人を学校運営に巻き込み、多くの見学者が同校に訪れるようになったことで、生徒にも見られる意識が生まれ、すごい大人と関わることで成長し、生徒の意識も先生の意識も、少しずつ変わっていった。
そんな変革中の同校が校訓である「自主創造」を加速するために今年度より導入したのが、生徒や教職員が注目するニュースをPickしたり、コメントを交わす学び合いのプラットフォーム「NewsPicks for Education」。
導入と運用に携わっている同校教諭の髙橋励起さんと高石大道さんに、話を聞いた。
【右】高石 大道(たかいし だいどう)さん
「本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校」をスローガンに、教育改革に挑む札幌新陽高校は、約800人の生徒が在籍する私立高校
本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校
髙橋さんは、大学院で農業を研究され農学博士でもありますが、なぜ札幌新陽高校で働くことになったのでしょうか?
実は畜産試験研究機関での就職が決まっていたんですが、札幌新陽で国語の先生が怪我をしてしまい代理の先生を3カ月間という短期間で探しているという話を聞いて、ちょうど論文も書き終えて卒業までの3カ月間が暇だったので、ちょうどいいやと思って働いたことがきっかけです。
2008年当時、本校は荒れていてチャイムが鳴って教室に行っても、半分くらい生徒が座ってない(笑)。教室の後ろの方で円陣を組んで話している女子生徒たちに話しかけたら、「お前誰だよ」って言われて。
このシチュエーションに遭遇したら怯んでしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、僕はその瞬間に「めっちゃおもしろそう!」と完全にスイッチが入ってしまい、決まっていた就職先にお断りを入れて、約束の3カ月間を過ぎた後も非常勤講師として働かせてもらい、今に至ります。
では髙橋さんは、10年以上働かれていらっしゃるんですね!
高石さんは、民間企業にいらっしゃったと伺いました。
そうなんですよ。
新聞社系列の広告会社を経て、商社で働いているときに、古くからの知り合いに誘ってもらい、2017年から働いています。
貴校の校舎には、「本気で挑戦する人の母校」という目を引くスローガンが掲げられていますよね。
実は今年度から「本気で挑戦し自ら道を拓く人の母校」に変わっています。
今年の4月に新校長として赤司さんを迎え、改めて2030年ビジョンを掲げて、校訓である「自主創造」できる生徒たちを育成していく上で、スローガンも最定義しました。
素敵なスローガンですよね。
生徒さんもイキイキしていて、まさにスローガン通りの学校だなと思ったのですが、以前は、学校の経営的にも苦しい状況が続いていたんですよね?
そうです。学校内では買収されてしまうのではないかという噂もあり、不安に思った若い先生が転職を考えるほどで、みんな半分諦めているような状況でした。
札幌だけではないと思いますが、全国的に偏差値で判断する教育が主流で、本校は偏差値的に低かったこともあり、「最終的に行くところがなければ、札幌新陽へ」というような感じで入学してくる生徒が多かったので、生徒数が徐々に減少し、経営的に苦しくなっていました。
最終的には入学者が150人ぐらいまで減ってしまったんです。
「開く」学校づくり
そのような状況で2016年に民間出身校長として荒井優さんが就任されたわけですね。
学校改革が進み、一時は経営難だったところを立て直してこられたと伺いましたが、具体的にはどのようなことに取り組まれていたのでしょうか?
「入学金無料」など戦略的に取り組んだことはたくさんありましたが、僕の中で一番大きいと感じたのは、「開く」学校づくりでした。
これまでは偏差値教育で自信を失った劣等感の強い生徒たちが多く、それを先生たちも守ってあげたいという気持ちからどうしても学校運営が閉鎖的になっていました。
そこを荒井さんは、とにかく開いた。どんな状況でも見せるし、開くし、たくさんの大人を学校に連れてきました。
ビリギャルのモデルとなった小林さやかさんが4カ月間本校にインターンに来たこともあります。
すると、生徒たちにも見られている意識が生まれ、すごい大人と関われることが自信につながり、学校に通う目的や考え方が、少しずつ変わっていったんです。
徐々に主体的に取り組みたい子たちが増えてきて、今まで半分腐っていたような子たちも、自分の中でやりがいをどんどん見つけていきました。
そもそもの学校の枠組みでは評価されなかった生徒個々の活動についても、荒井さんがフォーカスし、ピックアップして全体周知してくれたりもして、そこでまた生徒たちがやる気になってというサイクルが、少しずつでき上がっていきました。
その結果、荒井さんが就任された翌年には、入学者が320人くらい入ってきて(笑)。
外部の人からすると、入学金無料などの施策が効いたように見えるかもしれませんが、本質的には、中にいる生徒たちが自分に、学校に自信を持ったということ、またそれを見ている先生たちも少しずつ自信を持てたことが立て直しにつながったと思います。
「開く」というのは怖さも伴うのではないかと思うのですが、先生方はどんな反応だったのでしょうか?
みんな最初はやはり怖かったと思います。ちゃんと生徒たちがイキイキと学んでいる授業を見せたいから、自分の授業を見られるのも怖いですよね。
でも、開くが日常的になると、いろんなことを受け入れられるようになって、その結果、生徒たちを許容することができて生徒にとっても良い影響があったり。
先生たち自身も、「自分たちが好きなことに挑戦したらいいよ」という後押しがあったので、そういった環境になったことで、先生たちにもやりがいが生まれ、「新しいことに挑戦してみよう!」という気概が生まれたのかなと思います。
僕は、開いた状態の学校だったから魅力を感じ、会社を辞めたんです。
お給料がどれだけ変わっても、偏差値みたいな数字じゃない物差しで、本気で挑戦したかどうかをアセスメントとして道を切り拓く子たちを応援する学校で、一緒に本気で挑戦しようというマインドで入りました。
開いた学校じゃなかったら、会社は辞めていなかったと思います。
NewsPicksを通じて自主創造できる生徒を育みたい
「開く」ことが当たり前になっている貴校にとって、「NewsPicks for Education」の導入は必然的なものでしたか?
まさに求めていたものが導入されたという感覚です(笑)。
僕は国語の教員として、普段から受験の対策とかをやっていて。うちの生徒は一般受験ではなく、総合型選抜や推薦入試で戦う子が多いので、そういう子たちにとっては、必然的に世の中の時事問題やニュースに触れることが必要になってきます。
だからこれまでは新聞を使って、僕ら教員が新聞を切り貼りして、それをPDF化して渡したりとかしていました。でもそれって、どうしても労力がかかって大変。
だから「NewsPicks for Education」の話を聞いて、「これだな」と思って。
自分が担当している小論文指導などでも、新しい使い方ができるでのはないかと思っています。
導入するか否かは、校訓「自主創造」につながるか、という視点を大事にしています。
僕は、NewsPicksさんの話を聞いたときに、本当の意味で生徒が自走できそうだなって思って。
今は新聞自体をご家庭で取ってないこともあるので、日々ニュースを通じて何かを感じたり、ニュースを読むという習慣自体を紙の新聞で実現することには難しさを感じていました。それがNewsPicksなら実現できるなって。
多分日頃から新聞読まれている人って、誰かに強制されて見てないと思うんですよね。なので、そういう自発的にニュースに触れる習慣をつくることに役立ちそうだなというのが第一印象でした。
紙の新聞だと、どうしても生徒にとっては新聞自体が日常の中で遠い存在なので、学習教材にしかならない。
それがNewsPicksの場合、携帯電話やパソコンみたいに高校生の手に届きやすいものの中で操作できるので、日常的に見られるというのは大きいですね。自分で考えて言葉にしていく生徒が増えていくといいなって思います。
実際に4月から導入されて、生徒や先生方の反応はいかがですか?
本校の生徒も先生もGmailアカウントを1人1つずつ持っているので、4月に全校生徒と先生にNewsPicksのアカウントを配布しました。
毎朝日直がニュースをPickしているクラスもあれば、授業で活用する先生もいれば、使い方はさまざまで、全校的に「こうやって使いましょう!」というルールは一切設けていません。利用頻度もバラバラでいいと思っています。
先生たちに強制的に利用を促しても、それは多分生徒にも伝わりますよね。そうなると、NewsPicksを開かなくなると思うんです。でも、使っている生徒はかなり積極的に使いこなしていますよ。
僕は主に授業で使っていますが、まだ導入して2カ月なので、そもそもこのシステムにまだ生徒が慣れていないということと、生徒たちがどういうニュースをPickすればいいかがつかみきれていないところはあります。
ですので、僕が理想として描いている使い方や効果をどのようにしたら実現できるかを日々模索しているところです。
ファーストステップとして、NewsPicksを自発的に定期的に見る生徒が少しずつ増えるよう、試行錯誤したいと思っています。
NewsPicks for Educationについて
〈取材・文=先生の学校編集部/写真=穴澤 栞〉