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子どもの自信を育み、クリエイティビティを解放させる知育菓子®。40年の時を経て、学校教育での活用が進む知育菓子®の授業カンファレンスをレポート!

子どもの自信を育み、クリエイティビティを解放させる知育菓子®。40年の時を経て、学校教育での活用が進む知育菓子®の授業カンファレンスをレポート!

2024年10月20日(日)、知育菓子®授業カンファレンスが主催のクラシエ株式会社のオフィスにて開催されました。

カンファレンスでは、10人の知育菓子先生®の最先端の授業実践が体験できるということで、小学生約50人が保護者と共に参加。また約20人の現役の小中高校の先生方も参加し、小学生と一緒に授業に参加したり、先生向けに開催された知育菓子®授業のポスター発表会を通して、学びと交流を深めていました。

今回は、「知育菓子®授業カンファレンス」の様子を、先生の学校編集部がレポートします。実際に行われた授業の内容も一部ご紹介します。

写真:
吉川 牧人(きっかわ まきと)さん |写真左
静岡サレジオ高等学校 社会科教諭

関口 あさか(せきぐち あさか)さん |写真右
埼玉県立本庄特別支援学校 教諭


「ねるねるねるね」を題材にした絵本

皆さん、こんにちは。先生の学校編集部の三原菜央です。

今回私は、2024年10月20日(日)に開催されたクラシエ株式会社主催のイベント知育菓子®授業カンファレンスの取材にやってきました。その様子をたっぷりご紹介したいと思います!

そもそも「知育菓子®」という言葉を聞いたことがない方もいらっしゃるかもしれません。

知育菓子®は、工作のように遊び感覚で作ることで、子どもの創造力を育てる効果があるといわれているお菓子です。指先を使って生地をこねる、絞る、形成するなどの作業を行うことで、手の訓練にもつながります。元祖知育菓子®とも言える最初の商品が発売されたのは、1978年のこと。発売から40年以上の歴史のあるお菓子なんです。

1986年に発売された「ねるねるねるね」が大ヒットし、多くの人が知るお菓子になりました。私も小さい頃に数えきれないほど遊びながら食べました。

そんな知育菓子®の生みの親であるクラシエ株式会社さんのオフィスで開催されたカンファレンスでは、10人の知育菓子先生®の最先端の授業実践が体験できるということで、低学年から高学年の小学生約50人が保護者の方と共に参加していました。

子どもたちのワクワクの熱気に包まれながら、カンファレンスがスタート!

今回のカンファレンスでは、知育菓子先生®の授業が体験できるだけでなく、現役の先生向けに知育菓子®授業のポスター発表会も行われるということで、小中高校の先生方も20名ほど参加されていました。

オープニングが終わると、5つのコースに分かれて授業が始まりました。私も2つの授業を体験させていただくことに。

まず体験したのは、小学校低学年や特別支援学校や特別支援学級に通う児童向けの「クリエイティブコース」を担当する埼玉県立本庄特別支援学校の関口あさか先生の授業です。

知育菓子®の代名詞「ねるねるねるね」を題材にした絵本『ねるねるのもり』と「ねるねるねるね」を使って、ただ絵本を読むだけでなく、触覚・味覚・嗅覚などの視覚以外の五感を連動させることで、子どもたちの言葉の発達を効果的に促すことを目指した授業でした。

「ねるねるねるね」を題材にした絵本があることにも驚いたのですが、なんとこの絵本は、関口先生のアイデアが発端となり、クラシエ社との共同で開発されたとのこと。

絵本のストーリーは、ねるねるの森に雨が降らなくなったことで困った動物たちを、妖精が教えてくれた魔法の粉「ねるねるねるね」と水を使って、ブドウや雲をつくり助けるというもの。絵本を読みながら、子どもたちが主人公になって、問題解決できる絵本ということもあり、参加している子どもたちが夢中になって取り組む様子が印象的でした。

関口先生は、なぜ「ねるねるねるね」を題材にした絵本を作りたいと思われたのでしょうか。

特別支援学校では、授業の中で絵本の読み聞かせをすることがあります。障がいの重い子どもたちに絵本の世界を体験してもらうために、工夫が必要になります。

ただ絵本を見たり読んだりするだけでは絵本の世界を認識できないので、例えば、部屋を暗くして星空を映してみたり、匂いが出るようなものを用意して五感を刺激するんです。

この五感を通じて物事を理解していくプロセスは、特別支援学校の子どもたちに限らず、全ての子どもたちに必要なことです。

特別支援学校のメソッドを、幼稚園や小学校低学年の子に逆輸入する形で、子どもたちが手を動かして、五感に没入しながら読める絵本を作りたいと思うようになりました。そんなことを考えていた時に、ふと『ねるねるねるね』が雲に見えて。そこから絵本のストーリーが思いつきました。

そこで、クラシエさんのホームページのお問合せから『こういう本を作りたいのですが、作ってもいいでしょうか?』と連絡したところ、『一緒に作りましょう!』とお返事をいただいて、今に至ります。

関口先生の熱い想いが詰まった絵本。イラストも関口先生が描かれたものだそうです。気になる方は、ぜひここからチェックしてみてください。


創造性が開放され、びっくりするような作品が続々と

次に私が体験したのは、中・高学年向けの「スーパー探究コース」を担当する静岡サレジオ高等学校 社会科教諭の吉川牧人先生の授業です。

「ねりキャンワールド」と「おえかきグミランド」を使って、歴史の舞台や人物を立体的に作成していくという内容でした。私の前に座っていた小学生の女の子は、伊達政宗を作っていました。

実際に吉川先生が勤める静岡サレジオ高等学校では、この授業を歴史の授業で行っているそうです。どのようにしてこの授業を思いついたのでしょうか。

歴史の授業はどうしても教科書や映像などの2次元のものを見て、想像しながら学ぶ世界じゃないですか。そこに限界を感じていました。

この平面的な歴史を、『ねりキャンワールド』や『おえかきグミランド』を使えば立体的に作成でき、3次元で歴史を見ることができると思いつきました。さらには香りがあって味があって、そういったいろいろな感覚が歴史につながるって、誰も経験したことがないですよね。

実際に高校の授業で実践してみたところ、生徒のモチベーションが高く、びっくりするような作品が次々と生まれました。

吉川先生が働く高校では、歴史の授業の3コマ使ってグループ学習で展開しているとのこと。具体的には、1時限目は、学んだ歴史の舞台の中で興味ある場面をグループで選択し、画像を作成。

2時限目で、選択した舞台を「ねりキャンワールド」と「おえかきグミランド」で立体的に表現し、写真や動画を撮影。3時限目では写真や動画を素材として使い、動画作品を完成させて、グループごとに発表しているのだとか。

私の隣の席に座っていた公立小学校で特別支援学級を担当する先生は、カンファレンスの数日前に修学旅行の引率に行かれたそうで、奈良の大仏を作っていました。細部までこだわり抜かれたすごいクオリティに、一瞬で目が奪われました。

その先生は、今年になって知育菓子®の存在を知り、担任を持つ特別支援学級で実際に使われているということで、子どもたちの反応について聞いてみました。


「秋休みの最後の日に『自分で選んだ知育菓子®をひとりで作ってみよう!』という試みをしてみました。今まで恥ずかしがっていた子が大きな声で名前を言ったり、一人でどんどん作っていったり、なるほどそうするかと私の想像を超えてきたり、驚くことがたくさん起きました。

お菓子というだけでまず子どもたちのテンションが2段階くらい上がります。集中力やコミュニケーションが育まれるように感じましたし、何より子どもたちがウキウキ楽しそうでした。そして、最後に美味しいというのがいいですよね。知育菓子®の可能性を感じ、今回のカンファレンスにも参加しました」

参加されている先生の生の声に触れ、何か授業に行き詰まりを感じている先生や子どもたちが夢中になる授業に取り組んでみたいと思っている先生には、知育菓子®を使った授業に挑戦してみてほしいなと感じました。

吉川先生からもこんなお話がありました。

クリエイティブな授業がしたいって、先生方は皆、思ってるじゃないですか。大人が押し付ける創造的な授業は、それはもはや創造的ではないみたいなジレンマもあると思います。

それに悩んでいる先生は、誰もが経験したことがあって誰もが使える『お菓子』という選択肢を生徒に委ねてみてもらうと、大きな花が開いていくのではないかと思います。

クラシエ社の方も驚いていらっしゃいましたが、実は高校生や中学生と知育菓子®の相性がとてもいいと思います。基礎となる知識や経験があるので、それをお菓子という概念にぶつけていくと爆発的にクリエイティビティが発揮されるんですよ。

知育菓子®×中高生は、僕はすごくおもしろいと思っています。迷っている方は、ぜひ挑戦してみてください。



知育菓子®授業を体験した先生たちの声

約2時間半にわたって、2つの授業を堪能した子どもたち。とても満足した様子で会場を後にしていました。

授業終了後には、先生を対象にしたポスター発表会が行われ、参加された先生方が熱心に知育菓子先生®の実践に耳を傾けていました。

今回、子どもたちと一緒に授業に参加し、カンファレンスに参加した20人に先生方はどんなことを感じられたのでしょうか。5人の先生に感想を聞いてみました。


「知育菓子®を教材として見たとき、いろいろな切り口があってシンプルにおもしろいという印象でした。色も形など、変化が大きいので表現の幅が広い。最終的に食べることができるので、大事に扱わなければ!という思いが土台にあるのが、いいですね。教員の自己理解や他者理解などのワークショップに使ってみたいと思いました」
埼玉県の公立小学校教諭 教頭

「一つのお菓子に対して、さまざまな教科のアプローチができることがおもしろいと感じました。異文化交流やチームビルディングに使えるなと感じました」
神奈川県の私立中高一貫校教諭

「知育菓子®と言えば『ねるねるねるね』の印象が強かったのですが、さまざまな種類があり、情操教育やアントレプレナーシップ教育など、いろんな活用方法ができることに驚きました」
東京都の公立中学校教諭

「言語化のいらない直感的で、生徒の創造力を育むような授業ができるのではないかと思いました。キャリア教育や探究の授業で生徒のイメージを見える化する手法として使ってみたいと思います」
群馬県の公立高等学校教諭

「子どもの身近なものである知育菓子®が授業になって興味深かったです。知育菓子®そのものというより、料理を学び化することの可能性を感じました。もちろん、知育菓子®だからこそ触れられる知識もあると思います。化学反応や凝固の仕組みは目に見えないことも多いので、知育菓子®を使うと体感的に理解できると思いました」
東京都のオルタナティブスクール ディレクター

クラシエ社は、2021年に知育菓子®を「子どもの自信を育むお菓子」として位置付け、一人ひとり違う子どもたちの成長に寄り添っています。そんな知育菓子®がコンビニやスーパーを超えて、学校の授業の教材として使われるようになってきました。

クラシエ社のホームページでは、多くの授業実践レポートが公開されています。ぜひ興味のある方は、ホームページをチェックしてみてください。そして、授業やクラス運営、組織のチームビルディングに活用してもらえたらと思います。

〈取材・文:先生の学校編集部/写真:芝田 陽介〉