参加校の7割がリピートする、ユニクロ・ジーユー発!“届けよう、服のチカラ”プロジェクトとは!? [PR]
ユニクロ、ジーユーを展開する株式会社 ファーストリテイリングが全国の小・中・高校と共に取り組む“届けよう、服のチカラ”プロジェクト。
2013年に始まったこのプログラムは、これまで4,315校、延べ47万人の子どもたちが参加し、店頭での回収と合わせて5,000万着を超える服が難民や国内避難民などのもとへ届けられています。
このプログラムを運営するファーストリテイリング サステナビリティ部の山口さんに、プログラムの背景と取り組み内容、またプログラムを通して児童・生徒に起こる変化について聞きました。
ビジネス・社会課題解決連動チーム
身近な服が社会貢献のきっかけに
——ファーストリテイリングが、UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)と全国の小中高生と取り組む“届けよう、服のチカラ”プロジェクトは、10年以上続くプログラムなんですね。
この“届けよう、服のチカラ”プロジェクトは、家庭で不要となった子ども服を回収し、難民の方へ届けるプログラムです。私たちファーストリテイリングと難民の保護・支援に取り組んでいる国連機関のUNHCRがパートナーシップを組み、全国の小・中・高校にご参加いただいています。
回収する子ども服は60〜160cmサイズで、ブランドは問いません。児童・生徒が主体となって、校内や地域の皆さんに広く協力を呼びかけ、集まった子ども服を弊社パートナー倉庫宛にお送りいただき、難民の方々へ届けられます。弊社社員が難民の方へ直接届けることもあります。
おかげさまで、このプログラムは今年で12年目を迎えます。2023年度は全国から744校にご参加いただきました。実は、そのうち7割の学校が前年度からの継続で、本当にありがたく思っています。「◯年生でこのプロジェクトをやる」と決めて、毎年ご参加いただいている学校もあるんですよ。
——リピート率7割とは、すごいですね。プログラムの内容や参加校の取り組みについて、詳しく教えていただけますか?
プログラムへの参加申し込みから活動報告まで、年度内で完結するスケジュールで運営しています。小学5・6年生から高校生までが対象で、社会貢献やボランティアを行う部活や生徒会などの組織単位でもお申し込みいただけます。科目としては、小・中学校では総合的な学習の時間、高校では総合的な探究の時間が多く、衣料を扱う家庭科以外にも、国際的な問題を取り扱う社会科や英語などの授業に取り入れられるケースもあります。
弊社から提供する授業の後、実際に回収を進めるところに、学校ごとの特色が出てきます。ポスターを作って呼びかける広報チームを組織したり、他学年にプレゼンをするようなチームがあったり。地域の幼稚園や商店街へ、電話でアポイントを取って話しに出かけたり、コミュニティラジオや地方紙に取材のお願いをしたりすることも。
最初は「やらされ感」のあった児童・生徒たちが、それぞれの母校に行こうと思いつき、 実際に母校の子どもたちと触れ合っていくうちに、だんだん楽しくなっていき、主体的に取り組むようになったというケースもありました。
——地域との連携が自然と行われていく点が興味深いです。
積極的に取り組んだ学校をアワード形式で表彰しています。アワードでは、回収した衣料の量より、児童・生徒の主体性、地域や周囲の巻き込み、他教科との連動や難民の理解など、プラスアルファの取り組みやそれに伴う児童・生徒や周囲の変化といった視点を大切にしています。
また、参加した子どもたちが実際に集まった衣料の量を見ることで、自分の踏み出した一歩が結果につながったという自己有用感を持てたといった感想や、他の授業ではできないアクションがきっかけとなり、児童・生徒の成長につながったという言葉を先生方からいただくこともあります。
大枠のパッケージはありますが、セミオーダーメイドのように各校の状況や希望に合わせてアレンジできる部分も多く、各校の多様な切り口を私たちも楽しみにしているんです。
学校、地域、企業と世界をつなぐ 自分と社会問題がつながる実感
——そもそも、このプロジェクトはどのように始まったのでしょうか?
私たちは服を作って売るアパレル企業ですが、服を作るだけではなく、最後まできちんと責任を持つことを重要な使命と考えています。
少し時間をさかのぼりますが、1990年代後半、高価格帯だったフリースを手頃な価格で提供したことで、フリースブームが起きました。大量に販売して終わりとするのではなく、不要になったフリースを回収して燃料にリサイクルしようと、2001年頃から衣料回収を始めています。実際に集めてみると、かなり状態がいい服が多く、衣料としてリユースができるのではと、難民への衣料支援につながっていきました。
——なるほど。お店で衣料の回収ボックスを目にしたことがあります。
支援先として「本当に服を必要としている人は誰だろう」と考え、UNHCRを通して難民の方々へ衣料支援を行ったのが2007年のこと。その後2011年に、UNHCRとグローバルパートナーシップを締結し、さらなる衣料支援のほか、社員交流や難民の方の雇用などを続けています。
紛争や迫害、そして近年では気候変動の影響もあり、難民は増え続けており、2022年にはじめて世界で1億人を超えました。そのうち4割は、18歳未満の子どもたちです。衣料支援という点から見ると、体の成長によるサイズアウトが早いこと、またウクライナなどの紛争で難民が急激に増え続けていることから、慢性的に子ども服が足りない状況です。
店頭での衣料回収も、フリースから始まり、全商品に広げていますが、1社の取り組みでは必要な量をカバーできずにいました。そこで私たちの店舗網も活用しながら、地域の学校に協力をいただけないかと始まったのがこのプロジェクトです。
——実績のある取り組みなんですね。ユニクロやジーユーは身近なお店ですし、活動後も店舗に行くたびに思い出して、意識や行動の変化につながっていくイメージが湧きます。
ありがとうございます。難民支援に貢献するような仕事に就く方が現れたり、社会貢献に興味を持って勉強するきっかけになったりしたら、本当にうれしいですね。また私たち社員にとっても、深い学びや喜びのある大きな意義を持ったプロジェクトです。難民の方に必要な服はまだまだ足りていませんし、もっと多くの学校にご参加いただいて、一緒に取り組んでいけることを願っています。
“届けよう、服のチカラ”プロジェクト 活動フロー
【STEP1】 ユニクロ、ジーユーの社員による授業 <2024年6〜8月>
ユニクロ、ジーユーの社員が講師となり、実際に学校を訪問して、またはオンラインで授業を行います。私たちはなぜ服を着るのかという問いをきっかけに、服にはどのようなチカラがあるのかを一緒に考えていきます。
世界の難民の状況や回収した服の活用法などを、写真や映像も交えてお伝えします。生徒の皆さんに、なぜこのプロジェクトが必要なのか、また自分たちにもできる社会貢献があることを知るきっかけをつくります。
【STEP2】 生徒たちによる、校内、地域への子ども服回収の呼びかけ <授業実施後>
いつ、どこで、どのように呼びかけることで子ども服を集めていくか。生徒がアイデアを出し、実行に移していきます。校内放送や全校集会で学校内に呼びかけたり、近隣の小学校や幼稚園、商店街を回ったり、学校ごとに特色ある自由な発想で回収への協力を募ります。
【STEP3】 子ども服の回収と発送 <2024年11月>
回収方法にも、取り組み校ごとにさまざまな工夫が発揮されます。集まった子ども服を仕分けし、段ボールにつめて、指定の倉庫に発送します。その後、倉庫で選別や梱包が行われ、世界の難民のもとへ届けられます。
【STEP4】 ユニクロ、ジーユーから生徒へ報告 <2025年1月>
実際に難民キャンプに社員が出向き、衣料を難民の方々へ届ける様子をフォトレポートにまとめ、各学校へお送りします。レポートは、校内はもちろん、ご協力先への活動協力の感謝と成果の報告に活用いただいています。特に優れた取り組みを行った学校は、2月に開催する“届けよう、服のチカラ”アワードで表彰します。
中学生の部で最優秀賞を受賞した、草津市立松原中学校の2人の生徒にインタビュー
中学2年生 入口 和奏(いりぐち わかな)さん、中学2年生 坂井 彩希子(さかい さきこ)さんにお話を聞きました。
私たちは、中学2年生全員でこのプロジェクトに取り組みました。最初に“届けよう、服のチカラ”プロジェクトについて先生から聞いたときは、どんなことをやるのかあまりよく分かっていませんでした。でも、ファーストリテイリングの方から、服のチカラや難民問題について聞いたり、プロジェクトに取り組んだりするうちに、だんだんと本気になっていきました。
服のチカラや難民について学んだあと、私たちは校内だけでなく、地域の人にも子ども服の回収を呼びかけるために、回収ボックスやポスターを作りました。それを先生たちに見せると「いいものを作ったね。でも、地域に置いてもらえるようお願いするために、連絡するのも自分たちなんだよ」と言われ、私たちは「先生がやってくれるんじゃないんだ…」と正直不安な気持ちになりました。自分から地域の人に電話をかけて訪問をするということは、これまでやったことがなかったからです。
初めての挑戦でしたが、地域にあるさまざまな施設に何度も交渉を続けた結果、最終的には15カ所に回収ボックスを設置していただきました。あるチームは、地元のラジオ局にメールを送ったところ、快く引き受けてくださり、服の回収を呼びかけるためにラジオ出演をさせていただきました。
プロジェクトを進めていくうちに、私たちの本気度はだんだんと増していきました。大きな理由の一つが、このプロジェクトでは、自分たちで考えて行動する必然性があったからだと思います。校内や地域の人に知ってもらうため、本気で活動に取り組む仲間を見て、ますますやる気が高まり、気がつくと多くの人に声を掛け、巻き込んでいました。このことから、中学生の私たちでも世の中に影響を与えられるんだと、強く実感しました。知らない大人と話す機会が多く、気づいたら先生から「大人と対等に話せていてすごい」と褒めてもらえたこともありました。
今回、自分たちの力を実感したのは、服を集めるときだけではありません。自分たちの服が、実際に難民の人たちの手に届いている写真を見せていただいたときは、簡単には会いに行けない遠い場所に住む人たちの手に渡っているという実感が湧き、世界の役に立っているという手応えを感じました。また、ファッションや文化に対する関心を国を越えて共有できた感覚もあり、海外の人たちとの距離がすごく縮まったような気持ちになりました。
今回のプロジェクトを通じて、たくさんの人と力を合わせることで、より大きなことができると学びました。一人で考えていたら出てこなかったアイデアも、みんなで考えたから生み出すことができました。貴重な経験ができた私たちだからこそ、今後は自分たちの取り組みを全国の人と共有したり、失敗を恐れず、どんどん新しい挑戦をしたりしていきたいと思います。
参加の申し込みはこちらから。申し込み締め切りは、4月15日(月)まで。
〈取材・文:先生の学校編集部/写真:竹花 康〉